雌鶏からのみ取れる希少部位「キンカン（きんかん）」は、
見た目は柑橘類のキンカンに似ていますが、
実際は雌鶏の内臓の一部で、卵の中で形成される「内卵」として知られています。
今回はこの鶏のキンカンに焦点を当て、
その基本的な栄養成分や美味しい食べ方についてご紹介します。
鶏のキンカンとは？
鶏のキンカンは、鶏の卵が形成される前の黄身部分を指します。
雌鶏の卵巣で生成され、
卵管を通過する過程で卵白、卵殻膜、卵殻が形成され、最終的に卵として産み落とされます。
キンカンは、まだ卵殻や卵殻膜が付いていない卵黄の状態を指し、
通常の卵黄よりも濃厚で、串焼きや煮物などの料理に使用されることがあります。
鶏のキンカンの主な栄養素
「日本食品標準成分表2020年版（八訂）」には
「鶏のキンカン」の栄養価が記載されていませんが、
キンカンは卵黄に相当する部分であり、栄養素が類似していると考えられます。
したがって、「卵黄（鶏卵/生）」の情報を参考に、
鶏のキンカンの主な栄養素を確認してみましょう。
たんぱく質
卵黄には豊富なたんぱく質が含まれており、キンカンにも同様の栄養素が期待されます。
たんぱく質は筋肉や臓器、皮膚、毛髪の構成要素として重要であり、
ホルモンや酵素、抗体などの機能の調整にも関与しています。
また、身体のエネルギー源としても機能します。
ビタミン類
卵黄にはナイアシンとビタミンC以外の様々なビタミンが含まれており、
キンカンも多様なビタミン類を含んでいると考えられます。
これらのビタミンは身体の正常な機能を維持する上で不可欠であり、
食品から摂取する必要があります。
ミネラル類
卵黄にはカリウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛などのミネラルが豊富に含まれており、
キンカンもこれらのミネラル類を含んでいると考えられます。
ミネラル類はお互いに影響を与えながら、
身体の正常な機能を維持する役割を果たしています。
同様に、これらのミネラルも食品から補給する必要があります。
鶏のキンカンを活かした料理
鶏のキンカンは一般的にはあまり見かけない食材ですが、
地域によっては馴染み深いものとなっています。
ここでは、鶏のキンカンを使った料理の中からいくつかを紹介します。
美唄焼き鳥（びばいやきとり）
美唄焼き鳥（びばいやきとり）は、北海道美唄市のご当地グルメで、
レバー、ハツ、砂ズリ、キンカンなど、
鶏の内臓全てと玉ねぎを使用した塩味の焼き鳥です。
地元では「モツ串」とも呼ばれ、1本で鶏肉の様々な部位を楽しむことができます。
家庭で作る場合は、モモ肉などを使って串を作り、
グリルやフライパンで焼いて「美唄焼き鳥風」を楽しんでみましょう。
キンカンの鶏モツ煮
キンカンの鶏モツ煮は、山梨県甲府市発祥のB級グルメで、
「甲府鳥もつ煮」とも知られています。
第5回B-1グランプリで優勝した絶品料理で、
レバー、砂肝、ハツ、キンカンなどを醤油、砂糖、みりんで照り煮にした料理です。
内臓系のニオイが気になる場合は、
キンカン以外の内臓を下茹でしてアクを取り除くと食べやすくなります。
鶏のキンカンに関するよくある質問
ここまで、鶏のキンカンについて詳しく解説しましたが、
「なぜ鶏のキンカンは希少な部位といわれるのか」や
「鶏のキンカンと一緒に聞くことが多いちょうちんとは何か」など、
気になる質問があるかもしれません。
最後に、鶏のキンカンに関するよくある質問にお答えします。
Q1. なぜ鶏のキンカンは希少なのか？
鶏のキンカンは「成熟した雌鶏」からしか取れません。
通常の食肉用雌鶏（ブロイラー）は成熟する前に出荷されるため、
キンカンを取り出すことができません。
そのため、食用のキンカンのほとんどは採卵用の雌鶏（親鶏）から取り出されています。
ただし、親鶏の食肉加工はあまり行われておらず、キンカンは希少価値が高まっています。
Q2. 「ちょうちん」とは何のこと？
「ちょうちん」とは、鶏のキンカンとヒモ（輸卵管）が一緒になった状態を指します。
市販品では「キンカン」として売られることもありますが、
卵管と一緒に「ちょうちん」として販売されることもあります。
なお、ヒモは1羽に1本しかなく、
キンカンは通常5～10個程度が連なっていることが一般的です。
Q3. 鶏のキンカンはどれくらい食べていい？
鶏のキンカンの明確な栄養価は不明ですが、
卵黄の栄養価を考えると脂質量が多く、カロリーも高いです。
そのため、食べ過ぎには注意が必要です。
なお、目安として、日本卵業協会は「卵を1日2個」としていますので、
キンカンも控えめに摂取することが良いでしょう。
まとめ
鶏のキンカンは成熟した雌鶏からしか取れない希少な部位であり、
卵になる前の卵黄部分として栄養価は一般的な卵黄と同程度と考えられます。
たんぱく質やビタミン類、ミネラル類などをバランスよく摂取できる食材として、
鶏のキンカンを活かしたご当地グルメやB級グルメを楽しんでみてください。
